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「エキスパートが本気で議論!心不全症例相談会vol.1」セミナーレポート

お役立ちコラム

2023.11.24

「エキスパートが本気で議論!心不全症例相談会vol.1」セミナーレポート

心不全に詳しい専門医の方が周りにいない、または他の専門医の意見も聞きたい、と思われたことはありませんか?

専門医偏在問題の解決を目指し、専門医の知見を最大化するため「E-コンサル」を提供するMediiでは、専門医を講師にお招きしてE-カンファ(オンラインセミナー)を開催しています。

今回は、「エキスパートが本気で議論!心不全症例相談会vol.1」として、
大阪公立大学大学院 医学研究科 循環器内科学 准教授 泉家康宏先生と、
大阪医科薬科大学 循環器内科講師 藤田修一先生にご登壇いただき、
視聴参加いただいている医師の皆さまから事前、およびリアルタイムで寄せられた心不全症例についてのご相談にお答えいただきました。

アーカイブ動画を視聴されたい方はこちら ※会員登録後、視聴できます

心不全/心アミロイドーシスに関するご相談はこちら ※泉家先生と藤田先生の所属されるグループへのコンサル作成画面が開きます

それでは、主治医の先生方からのご相談と、泉家先生および藤田先生からご教示いただいた知見を一部ご紹介します。

目次

相談①:サムスカへの切り替えのタイミング

主治医の相談:慢性心不全でフロセミド 20mgを長期に渡って内服中の方です。
Cr 0.8前後と腎機能増悪傾向でK 3前後と低下傾向が見られます。
腎機能悪い方にフロセミドを投与し続けることに抵抗を感じ、サムスカなどに切り替えたいと思っていますが、切り替えるタイミング、専門家の先生ならどう処方するのかご教示して頂けると嬉しいです。
何卒よろしくお願い申し上げます。

泉家先生:年齢や心機能など分からないですが、カリウムが低いのでループ利尿薬を少し減量し、MRAのスピロノラクトンを足してカリウムを上げるということはよく行います。

慢性腎臓病(CKD)と心不全がある場合はSGLT2阻害薬を使うべきだと思います。SGLT2阻害薬は軽度の利尿効果があるので追加処方し、ループ利尿薬を減量するのがよいと考えます。サムスカは非常に良い薬ですが原則入院での内服開始が必要であるため、外来でMRAやSGLT2阻害薬を試し、その反応を見てから考えることになるのではないでしょうか。

藤田先生:クレアチニン0.8ならまだ悪くない印象ですので、フロセミドを使い続ける場合もありえるかとは思います。泉家先生と同じように、MRAを併用してカリウムを上げていくのが良いと考えます。心不全がどの程度悪いかによりますが、この症例であればサムスカよりもSGLT2阻害薬を先に追加します。フロセミドしかなかった時代には、漫然と用量を増やしていましたが、今はなるべくループ利尿薬を減量し、他の薬剤を併用するようにしています。

相談②:β遮断薬とACE-Iの導入

主治医の相談:慢性心不全でβ遮断薬とACE-Iの導入がされておらず、   利尿薬のみで管理されている方に関してご相談させてください。
自宅での飲水制限が守られなくて、溢水による体動困難状態で入院されました。
現在1日1000mlの飲水制限とフロセミド20mgIVで加療し、症状改善傾向でございます。
β遮断薬とACE-Iの導入のタイミングとその順序、何を指標に増量すべきかご教授ください。

藤田先生:慢性心不全の原因や診察時の血圧にもよりますが、β遮断薬やACE阻害薬、MRAを追加すべきかどうかは症状がおさまったときに検討すべきだと思います。心機能が非常に悪い方であるとβ遮断薬を追加できないこともあるかと思いますが、血圧の変動を見ながら、導入時には入院で経過を見ていくと思います。少しでも心機能をが改善できる薬剤を追加しつつ、利尿剤の静注をできるだけ避けられるようにすることを目指すべき症例かと思います。

泉家先生:心機能の情報がないためコメントが難しい部分もありますが、収縮力が保たれた心不全と、収縮力が低下した心不全に分けて考えるとよいと思います。収縮力が保たれているか低下しているかで使うべき薬剤がガイドラインでも違っています。

まず、収縮力が低下している心不全では、ボリュームコントロールが第一かと思います。初めに、静注での利尿剤でボリュームを引き、落ち着いてから心保護薬を導入するフェーズになるでしょう。最近はファンタスティック4と呼ばれる心保護薬を使うようにしています。とにかく早く4種類の薬剤を開始した方が良いと言われており、MRAとSGLT2阻害薬は利尿作用もあり、β遮断薬のように用量を細かく調整しなくても良いため、溢水の心不全の方には、症状が落ち着いたら先ほどの2種類を入れることが多いです。その後は血圧を見ながら、ACE阻害薬またはARBを追加し、脈拍を見ながらβ遮断薬を少量から開始し、増量していきます。最終的な増量は外来で行っていくかと思います。

一方、収縮力が保たれている心不全(HFpEF)の場合、ACE阻害薬とβ遮断薬は必須ではないと考えられています。利尿剤とSGLT2阻害薬が選択され、ボリュームコントロールが終わったら、ループ利尿剤、MRA、SGLT2阻害薬で見ることが多いです。血圧が高ければACE阻害薬も考えますが、HFpEFの場合は必須ではないと個人的には考えます。

相談③:高齢者へのビンダケルの投与と遺伝子検査

主治医の相談:お世話になっております。
以下の症例の治療方針について苦慮しており、質問させていただきました。
85歳男性で、CS1の経過の初回心不全で入院し心筋壁肥厚を認め、LVEF40%と低下しており、心筋生検を実施したところ、ATTRアミロイドーシスの診断となりました。
ビンダケルの適応ではあると思いますが、高齢であり適応について悩ましく考えており心不全を繰り返す場合の投与を検討しておりますがいかがでしょうか。
この時点で遺伝子検査まで進めたほうがよろしいでしょうか。

藤田先生:初回心不全ということで普段のNYHAが分かりませんが、基本的に心筋生検までした場合は、普段の活動度も考慮し、私ならビンダケルを開始すると思います。遺伝性ATTRアミロイドーシスは別の治療が検討される場合もあるので、本人や家族のためにも遺伝子検査を勧めています。

泉家先生:CS1の心不全かつ初回入院なので、おそらく血圧がある程度保たれているアミロイドーシスと考えます。進行したATTRの患者では血圧が下がってきますし、血圧が低くなってきた患者は予後が悪いという印象を持っています。CS1の心不全になるほどの血圧があるということは、EFが落ちてはいるが極期まで進行している印象はないため、ぜひ薬剤を開始したいと思います。年齢が懸念点であるということはしばしば質問されますが、私の勤務先の病院では実年齢はあまり気にしておらず、ADLや認知機能から正しく内服できるか否かで判断することが多いです。心不全を繰り返さないためにもビンダケルを開始して進行を抑制する必要があると思います。遺伝子検査は藤田先生と同じ意見です。大阪でも遺伝子検査を行うとミュータントが見つかることもあるので、地域性と考えず熊本と長野以外の地域でも調べる必要があると考えます。

相談④:高齢者心不全におけるβ遮断薬の使い方と使い分け

主治医の相談:お世話になっております。私が診ている中で、心不全をお持ちの高齢者に対してβ遮断薬を開始すると、徐脈や低血圧で継続できないケースが多いように感じています。先生方はどのように導入されていますでしょうか。
また、β遮断薬もβ1選択性やISAの有無などいくつか種類がありますが、先生方はどのように使い分けされているのでしょうか。どうぞご教授よろしくお願いいたします。

藤田先生:アミロイドーシスの患者さんですと、β遮断薬による治療で徐脈になる方もいらっしゃいますが、外来で行う場合は少量から始めるようにしています。ビソプロロールの方がレートは下がる印象なので、徐脈傾向があると分かっている方はビソプロロールは避けることもあります。基本はファンタスティック4を処方したいのですが、尿路感染の既往がある方はSGLT2阻害薬の処方が憚られるなど、様々な理由で処方できないこともあるので、4種類の中で処方できるもので治療することを常に考えています。

泉家先生:実臨床でよく遭遇する話だと思います。昔は選択肢がACE阻害薬とβ遮断薬のみでしたが、最近は心保護薬の選択肢が広がってきましたので、ファンタスティック4から副作用の出現しにくい薬剤から開始し、追加でβ遮断薬の処方を検討します。その場合、例えばアーチストなら1.25mg、ビソプロロール0.625mgなどの少量からはじめています。β遮断薬の選択については、以前はアーチストしか心不全への適用がなかったので、8分の1の用量から徐々に増やしていました。しかし、カルベジロールはαβ遮断薬と呼ばれており、α遮断作用とβ遮断作用が1対8なので血圧を下げてしまう作用があります。それに対し、メインテートはβ1セレクティブですのであまり血圧には影響しない印象です。よって、心不全で血圧低めの方には、β1セレクティブな薬剤を少量から開始することが多いです。

今回ご紹介できなかったご相談と回答

他にも、以下のようなご相談をいただき、泉家先生と藤田先生にアドバイスをいただきました。
今回の記事ではすべてご紹介できませんでしたが、アーカイブ動画にて泉家先生と藤田先生のご解説をお聞きいただけます。

相談A:心不全の終末期移行期について(30:12~)
相談B:ピモベンダンの位置づけ(41:43~)
相談C:心不全対策でのカルベジロールとビソプロロールの使い分け(45:04~)
相談D:低アルブミン血症を有する心不全患者様の利尿剤(47:38~)

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心不全/心アミロイドーシスに関するご相談はこちら ※泉家先生と藤田先生の所属されるグループへのコンサル作成画面が開きます

Medii編集部より

今回は、泉家先生も藤田先生も臨床でよく遭遇するとおっしゃるようないくつものご質問を主治医の先生方よりいただき、お二方が惜しみなく知見をご教示くださったE-カンファの一部をご紹介しました。

E-コンサルでは、お二方のようなエキスパート専門医の先生方が、主治医の先生方と一対一のクローズドなチャット環境下にて親身にアドバイスくださいます。
患者情報も厳重に扱われますので、ご安心してご利用いただけます。(*)

ぜひ、このご機会にお悩み症例をエキスパート専門医の先生方にご相談いただけますと幸いです。

* 患者情報取り扱いの安全性につきましては、ぜひこちらの記事の「一番の懸念は『患者情報取り扱いの安全性』」部分をお読みくださいませ。

(文責:Medii編集部)


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