Doctor’s Voice
原因不明の心不全はとことん原因精査を〜一次医療機関から三次医療機関まで繋ぐ心アミロイドーシス診断リレー〜

オンライン専門医相談サービス「E-コンサル」を活用して心アミロイドーシスの早期診断、早期治療を目指している心不全/心アミロイドーシス専門医グループにご協力いただいている先生方にお話を伺う本シリーズ。
今回取材に応じてくださったのは奈良県立医科大学 循環器内科 講師 尾上健児先生です。奈良県立医大は奈良エリアの心アミロイドーシス診断、治療の中心的役割を担っています。
インタビューでは奈良県立医大の取り組みや心アミロイドーシスの早期発見を阻む課題と解決策についてお話いただきました。
奈良県立医大系列では心筋生検を積極的に行っている
——先生がお勤めの奈良県立医大は奈良県の心不全診療においてどのような役割を果たしているのでしょうか。
当院は第三次医療機関として、他の病院やクリニックからの紹介を中心に診療しています。心アミロイドーシスの診断においては心筋生検が重要です。奈良県の事情は少し特殊で、二次医療機関が積極的に心筋生検を行ってくれています。とはいえ他府県では心筋生検に積極的に取り組んでいる病院は少ないでしょう。心不全の原因が特定ができないまま終わってしまっている病院が多いのではないでしょうか。
一次医療機関ではレッドフラッグを参考にしながら疑わしければ二次医療機関へ紹介を
——一次医療機関では、どのように心アミロイドーシスを見つけ紹介すればよいのでしょうか?
心エコー検査ができない一般の開業医やカテーテル検査が実施できない病院においては、心アミロイドーシスを疑うこと、そして紹介すべきポイントを見つけることは簡単ではありません。循環器疾患は、心筋症や心アミロイドーシス以外にも多数存在しています。どういったサインが、どの疾患に結びつくのか、循環器内科の専門医でなければわからないでしょう。
どういった基準で紹介するかは、一次医療機関の先生たちの大きな課題であり、明確な基準はありません。心アミロイドーシスについては日本循環器学会が提唱するRed flagがありますので、可能な限りの検査を実施いただき、原因が特定心不全症例は積極的に二次医療機関や大学病院に気軽に紹介いただければと思います。
心アミロイドーシス早期診断のために二次医療機関では心筋生検を
——全国的には心筋生検のハードルが低い医療機関は少ないとのことですが、通常の医療機関はどのように心アミロイドーシスの早期診断に向けて取り組めばよいのでしょうか。
二次医療機関の先生については、心電図に異常があり採血で心筋障害マーカーのトロポニンが上がっていれば心筋症を疑うことができるかと思います。しかし、圧倒的に虚血性心筋症の場合が多いので、冠動脈の評価を行うのがセオリーです。その上で問題がなかったときに初めて心アミロイドーシスを疑うという流れです。
心臓MRIを行うこともあるかと思いますので、MRIに異常がみられれば、心筋生検による組織診断をおすすめします。とはいってもどういった基準で組織診断に踏み切ればよいのかはケースバイケースで難しいですよね。私は心筋疾患が疑われたら積極的に心筋生検を行えばよいかと考えています。拡張型心筋症や二次性の原因を否定する意味合いでもまだまだ心筋生検は活躍できる場面はありますから。
ATTR-CMについてはピロリン酸シンチグラフィーができる病院であれば実施した上で、組織検査を行えばよいと思います。一方で、ALアミロイドーシスの場合は、ピロリン酸シンチグラフィーは陽性にならないため、心筋生検に踏み切れない病院が多い傾向です。心臓MRIでは割と早期に変化が認められると言われていますので、MRIで異常があり血液学的にフリーライトチェーンが上がって腫瘍性があるというのであれば、ALのアミロイドーシスを疑い、心筋生検を実施するのが良いと思います。
紹介するか迷う時、紹介先を探すためにもE-コンサルを使っていただきたい
——現在、心アミロイドーシスの診断フローについてはどのような課題があるとお考えでしょうか?
一次医療機関の専門ではない先生が心アミロイドーシスを早期に発見することは難しいです。紹介された後に振り返ると「たしかに以前から心電図に異常があったな」といった症例も見受けられます。ですので、一次医療機関では心電図の自動診断の精度がもう少し上がればよいのではと思っています。
二次医療機関の課題は、虚血性の患者さんが多く、それ以外の原因精査をせずに終わってしまうケースが多いことです。たとえば、心不全で初回入院した患者さんに利尿薬を処方して、症状が改善したらそれでよしとして、退院させてしまうところがあります。もうすこし心筋の評価をしていただければ心アミロイドーシスの早期発見に繋がるのではと思います。ATTRアミロイドーシスもALアミロイドーシスも原因を究明できれば治療できる病気です。原因精査をして、虚血が否定されたらピロリン酸シンチグラフィーや心筋生検ができる医療機関やビンダゲル処方認定医のいる病院に紹介すべきです。
——紹介先はどのように選べばいいのでしょうか?
一次医療機関の先生は、紹介先がわからずに困ることが多いのではないでしょうか。前述のとおり、ピロリン酸シンチグラフィーや心筋生検ができる医療機関など、適切な医療機関に紹介する必要があります。ですが、現状は、各病院のホームページを見て確認するしかありません。その上、ホームページに掲載されている情報も均一的ではありませんし、最新の情報に更新されていないこともあります。
私は、奈良県では紹介先の病院を探しやすいように、エリアごとの紹介先医療機関リストを作ろうと取り組んでいるところです。
——E-コンサルは紹介先を探す際に役立つことがありますか?
E-コンサルは、まず紹介するべきか悩むような際に気軽に相談いただければと思っています。「心電図がおかしい気がするけど、紹介するほどの異常なのか」など、少しでも気になることがあれば、ぜひお聞かせいただきたいです。
その上で、どこに紹介すればいいのかお困りでしたら、そういった相談も気軽にいただければと思います。専門医の所属する医療機関のある地域であれば、適切な紹介先をお伝えすることもできますし、紹介先の医療機関の条件、例えば、循環器内科専門医やビンダゲル処方認定医がいる施設など、判断の方法をお伝えすることもできると思いますよ。
心不全・心アミロイドーシスを専門とする多くの先生がE-コンサルで回答協力いただいていますので、きっとお力になれると思いますし、私自身も可能な限り、ご回答できればと思っています。
お話を伺った先生

奈良県立医科大学 循環器内科 講師
尾上 健児 先生
日本循環器学会 近畿支部評議員
日本循環器学会 ビンダケル導入認定医
日本心不全学会 代議員
日本心血管内分泌代謝学会 評議員
国際心臓研究学会日本部会 評議員心筋生検研究会 幹事
日本循環器協会 幹事
尾上先生が回答にご協力くださっている心不全/心アミロイドーシス専門医グループへのご相談はこちら。
【全国版】
https://e-consult.medii.jp/NewChatRoom?targetgroupid=GRa1820441-60ca-452c-b7aa-c3a10d188ee9
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