Doctor’s Voice
専門医に紹介するかどうかの判断ができない段階からアドバイスしたいー奈良県における心不全診療連携ー

心アミロイドーシスの治療薬が登場し、心アミロイドーシスの早期診断、治療の必要性が周知されつつあります。しかし、高齢者の増加により心不全の患者数も増え続ける中で、すべての心不全症例を地域の基幹病院だけで対応することは不可能です。
今回は、奈良県の心不全診療拠点病院である天理よろづ相談所病院の田巻先生に、奈良県の心不全診療や心アミロイドーシスの早期診断の障壁、それらを解決するためのEーコンサル活用についてお話を伺いました。
目次
奈良県の心不全診療拠点病院が担う役割
心アミロイドーシスの認知度が高くなり紹介症例数は増加しているが……
心エコーなどの基礎的な検査で疑いがあれば紹介を
紹介すべきか等、次のステップに悩んだらEーコンサルを活用してください
奈良県の心不全診療拠点病院が担う役割
——田巻先生のご専門を教えてください。
心不全と心筋症を専門にしています。現在は奈良県の天理よろづ相談所病院の循環器内科で心不全を始めとする循環器疾患を診療しています。虚血性心疾患に対するPCIも行っています。
——奈良県の心不全診療にはどのような課題がありますか?
当院は奈良では東和地区と呼ばれるエリアに位置しています。東和地区で、24時間循環器の対応ができる病院は限られており、当院はそのひとつです。特に冬場は心不全患者が増えますから、基幹病院に患者が集中し、溢れているような状態です。奈良県に限らず全国的に言える傾向ではあると思いますが、奈良の医療体制は近隣エリアの大阪・京都と比較してもマンパワーが足りない状態です。この点が奈良県の心不全治療の課題と言えるのではないでしょうか。
基幹病院だけで地域内の心不全をすべてフォローすることは不可能です。入院治療を当院で行い、病状が落ち着いたら地域のかかりつけの先生に診ていただくといった流れを作れたらよいのですが、急性心不全は退院後早期の再入院率が高く、地域の先生に引き継ぎづらいのが現状です。
——心不全診療の課題を解決するために行っていることはありますか?
かかりつけ医の先生方と患者さんの情報共有をスムーズに行う手段を検討中です。基幹病院は小回りが利きにくいので、普段の診療はかかりつけ医の先生にお願いして、精査や入院が必要な際に基幹病院で対応するという体制ができればと考えています。
当院の心臓リハビリチームで訪問看護ステーションやデイサービスなどとのタッグを組もうと取り組みを始めようとしていたのですが、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるってからは勉強会などを実施しにくくなり、立ち消えになっています。また一から取り組んでいきたいですね。
心アミロイドーシスの認知度が高くなり紹介症例数は増加しているが……
——奈良県では心アミロイドーシスが疑われる場合、どのようなフローで診断、治療が行われているのでしょうか。
直接当院に患者さんがお見えになることもありますが、半数はご紹介いただいています。そのうちの約半分は心アミロイドーシス疑いでの紹介で、残りは原因不明の心不全として紹介され、当院にて精査したところ心アミロイドーシスが発見されたケースです。
最近は学会等で心アミロイドーシスの啓発が進み、当院でも心アミロイドーシスの患者さんが増えています。
——奈良県でも心アミロイドーシスの認知度は向上していると感じますか?
心アミロイドーシスは稀な病気であり、基幹病院以外ではなかなか経験することができません。これまで、心アミロイドーシスは治療法がなく診断する意義がありませんでした。
近年、治療薬が開発されて早期診断する意義が見出されるようになったものの、タファミジス認定医のいる施設以外ではまだまだ認知度が高いとはいえず、どれくらいの検査をすればよいのか、どの程度の疑いがあれば紹介してもよいのか、さらには心アミロイドーシスを疑ったとしても治療対象になるのか、といった点までは広く周知されていないと感じています。
心エコーなどの基礎的な検査で疑いがあれば紹介を
——田巻先生のもとに紹介される心アミロイドーシスの患者さんはどのような状態が多いでしょうか?
開業医の先生から紹介される症例は、原因がわからない心不全の状態であることが多いですね。循環器内科の先生からはピロリン酸シンチグラフィーを実施して、陽性だったからと紹介されるケースが増えています。
——心アミロイドーシスは早期診断と治療が重要となりますが、開業医の先生や地域の循環器内科の先生方はどのような基準で、紹介すればよいのでしょうか。
心不全の患者さんについては心アミロイドーシスに限らず、原因を精査する必要があると考えます。循環器が専門でない先生方からは、心エコーを含め精査のため、一度は循環器専門医に紹介していただく必要があると思います。循環器専門医であれば、心エコーなどで評価を行い、心アミロイドーシスの可能性が高そうであればピロリン酸シンチに進んでいただければと思います。
ピロリン酸シンチの段階から紹介いただいても構いませんし、ピロリン酸シンチが可能な病院であれば、ピロリン酸シンチを行なった上で心アミロイドーシスが疑われる場合に紹介いただくと助かります。
ピロリン酸シンチグラフィーにて心アミロイドーシスの可能性が高い症例の紹介が増えているとお話しましたが、その中には心不全を起こしてからかなり時間が経過してしまっている患者さんもいました。アミロイドーシスの診断は、まずは疑うことが重要ですので、原因不明の左室肥大や原因不明の心不全の症例では、アミロイドーシスを念頭に置くことが重要です。
——田巻先生のもとにいち早く紹介されて、早期治療に繋がった症例はありますか。
もともと心房細動で定期的に診ている患者さんに、定期検査の心エコーを行ったところ以前のエコー画像と比較すると明らかに心肥大の進行があり、心アミロイドーシスではないかと早期にご紹介いただいた症例があります。
このように、以前の結果と比較することでも早期発見が可能となりますので、これまで経過観察されてきた心肥大症例の見直しもぜひ積極的に行っていただきたいです。
紹介すべきか等、次のステップに悩んだらEーコンサルを活用してください
——田巻先生はEーコンサルで積極的にご回答いただいています。どのような相談が多いでしょうか。
診療のプロセスや手順がわからないといったご質問が多いですね。「この次はどうしたらよいのでしょうか」といったものです。専門医に紹介をする一段階前のフェーズのご相談が多いですよ。
直接ご紹介いただく症例は、先方もある程度アミロイドーシスを疑っている状態で、紹介可能でしょうかという相談がほとんどです。一方でE ーコンサルは「どこまで検査して紹介してよいのだろうか」と次のステップに悩んでいる相談が多い傾向にありますので、そういった段階の先生方の背中を押せるのは大変意義があると思っています。
——その他にどのような質問が寄せられますか?
「このような患者さんの状態でタファミジスの認定施設に紹介してもよいでしょうか」というご相談もあります。タファミジスは薬価が高く、すべての患者さんに使えばよいというものではありません。「重症者や高齢者も適応になるのか」といったお話をいただくこともあります。
これは難しい問題で、施設によっては院内カンファレンスで全症例の治療開始の判断を行うところもあると聞いています。1人で判断するのは難しい問題ですので、タファミジスの認定施設に紹介していただき、認定施設で複数の目で検討するのがよいかと思います。薬剤の適応かどうかの判断がつかず、紹介すべきかどうか悩んだ際にもE-コンサルでご相談いただければと思います。
——最後に、心不全の患者さんを診る先生方にメッセージをお願いします!
心不全は心機能が低下している心不全と保持されている心不全があります。心機能が低下している心不全(HFrEF)については、なぜ低下しているかという部分の原因については皆さん気にして調べますので見逃しが少ないでしょう。
一方、心機能が保持されている心不全(HFpEF)については、高齢者が多く、高血圧や心房細動が原因と判断してしまい、原因の精査まで気が回りにくいです。
ですが、そこに心アミロイドーシスが隠れていることがあります。ATTR-CMだけでなく、ALアミロイドーシスであれば、速やかな連携による早期診断、早期治療開始が予後に大きく影響します。
各施設でできる範囲の検査をしていただいて、自施設で原因が特定できない場合はご紹介を検討いただければと思います。判断に悩む際は、Eーコンサルで気軽にご相談いただければ、専門医としての意見をお答えしますのでご活用ください。
お話を伺った先生

天理よろづ相談所病院 循環器内科 心不全センター 副部長
田巻 庸道 先生
日本内科学会総合内科専門医
日本循環器学会 循環器専門医
日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士
日本心血管インターベンション治療学会 認定医
日本循環器学会 ビンダケル導入認定医
田巻先生が回答にご協力くださっている心不全/心アミロイドーシス専門医グループへのご相談はこちら。
【全国版】
https://e-consult.medii.jp/NewChatRoom?targetgroupid=GRa1820441-60ca-452c-b7aa-c3a10d188ee9
【関西エリア版】
https://e-consult.medii.jp/NewChatRoom?targetgroupid=GR53d4a4d8-5caa-41fa-8ac3-e58cbb787662
※ログイン画面が開きます。初めての方は「新規登録はこちら」にお進みください。







