専門医知見シェアリング事業を展開する株式会社Mediiは、一人の医師では経験や知見が限られる希少疾患や難病を中心とした症例スライドの投稿や検索ができる新サービス「症例バンク」の提供を開始したことをお知らせいたします。
■提供背景
日本を含め世界には約7,000の希少疾患・難病が存在し、その数は世界人口の約5%の3.5億人にものぼると報告(※1)されています。ひとつひとつの疾患は医師にさえあまり知られていないものも多く、なかなか診断がつかずに医療機関を次々と、あるいは同時に受診するドクターショッピングを繰り返さざるを得ないことなどが長い間問題となっています。
この背景には、疾患の特殊性と希少性から一人の医師が診る希少難病の患者数は非常に少なく、疾患の経験を積むことは容易ではないことが挙げられます。その結果、患者が希少難病と診断されるまでにかかる時間は疾患によっては7〜10数年かかっている状況となっています(※2)。診断が付くまでにかかる主治医数は平均7.3人(※3)となっており、なかなか診断がつかずに様々な医療機関を受診するなど、時間的にも金銭的にも患者の負担が大きくなっていることが社会的な課題となっています。
医師が診断が難しい症例や専門外の症例に出会った際、それを解決するために行うことは主に二つあります。一つ目はガイドラインや症例報告論文などを検索し調べること、二つ目が自身の人脈を駆使して知見のある先生に尋ねることです。
一方で病院勤務医は1週間当たり診療時間として45時間、医学研究・情報収集等含む診療外時間として約8時間を費やしており(※4)、医師の労働環境を改善するためにも診療の円滑化と診療外作業の支援が必要です。
この効率化を促進するため、新たに提供開始した症例報告スライド共有サービス「症例バンク」は、全国の専門医の経験と知見を集合知にすることで、医師の情報収集を効率化し、希少疾患や明確なエビデンスがない疾患など、限られた類似症例の診断や治療に役立てていただけます。
またMediiでは、希少疾患に関する知見が行き届いていない医療現場へ専門的な知見を届ける手段として、Mediiに協力してくださっている難病を中心とした各疾患領域の800名の専門医に、人脈はなくとも1:1のチャットで相談ができる「E-コンサル」も無料で提供しています。「E-コンサル」を通じて、診断が難しい症例や自身の専門外の症例について特定の疾患の症例経験が豊富な専門医へ相談しアドバイスを受けることで、患者の診断や治療に活かしていただいています。
※1 Walkley SU et al. Orphanet Journal of Rare Diseases 2016;11:161
※2 Moeko Isono et al. PLoS One. 2022 Mar 18;17(3):e0265847.
※3 Engel PA et al.Journal of Rare Disorders.2013;1(2):1-15.)
※4 令和2年医師の働き方改革の推進に関する検討会資料「医師の勤務実態について」
■ご利用方法
下記症例バンクサイトから登録できます。医師免許の確認をうけた医師のみが閲覧可能です。ご登録・ご利用は完全無料のサービスです。既に『E-コンサル』にご登録いただいている方は、同じ登録情報でご利用できます。
症例バンク:https://bank.medii.jp/